喀痰(かくたん)吸引(単に"たん吸引"と呼ばれることもあります)とは、口腔内、のど、鼻腔、気管、気管支などに溜まっている喀痰(つば、鼻水、痰といった分泌物)を、吸引器などを利用して体外に排出することです。
喀痰吸引には「鼻内吸引(鼻の穴に吸引カテーテルを挿入する)」「口内吸引(口に吸引カテーテルを挿入する)」「気管カニューレ吸引(気管切開をしている方の場合で、気管カニューレ内に吸引カテーテルを挿入する)」の3つの方法があります。
※従来、「喀痰吸引」は医行為に該当し、医師法等により医師・看護師等のみ実施可能となっており、厚生労働省の通知によって介護職員等によるたんの吸引等は、当面のやむを得ない措置として、一定の要件の下(本人の文書による同意、適切な医学的管理等)で、認められてきました(実質的違法性阻却)。
しかし、平成24年4月1日より「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(平成二十三年法律第72号)により、介護職員等によるたんの吸引等が将来にわたってより安全に実施されるように「社会福祉士及び介護福祉士法」が改正され、一定の研修課程を修了した介護職員等(①平成28年1月以降の介護福祉士試験に合格した者、②介護職員等であって喀痰吸引等の業務の登録認定を受けた認定特定行為業務従事者)は、医療や看護との連携による安全確保が図られている等、一定の条件の下で「喀痰吸引」を実施することが可能となりました。なお、個人・法人を問わず、たんの吸引等を業として行うためには、事業所ごとに一定の要件(医療関係者との連携、安全確保措置等)を満たしている旨の登録申請を行い、登録事業者となることが必要です。