中心静脈栄養(Intravenous Hyperalimentation。「IVH」「完全静脈栄養」と呼ばれることもあります)とは、「消耗性疾患や消化器疾患などで長期間、経口摂取が出来ない」「胃ろうなどの経腸栄養も行うことができない」方の中心静脈にカテーテルを留置して、『高カロリー輸液(TPN)』を注入して栄養を補給する方法です。
一般的な点滴や静脈注射などで使われる血管は抹消静脈といい、この末梢静脈を使った末梢静脈栄養(PPN)という手法もありますが、中心静脈(鎖骨下静脈、内頸静脈、大腿静脈などの身体表層の静脈)と比較して血管が細く血量も少ないため、栄養の3大要素である、糖質・アミノ酸をバランス良く含んだ上でビタミンや微量元素を加えた『高カロリー輸液(TPN)』のような高濃度ブドウ糖を使用すると血管炎を引き起こすリスクがあります。中心静脈栄養(IVH)はこのリスクを解消するために開発された医療技術ですが、中心静脈の隣には太い動脈も通っており、カテーテル挿入時に誤って動脈を傷つけると大出血をする可能性があることや感染症・合併症のリスクもあることから、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と並んで対応可能なホームが少ないです。