これまで、有料老人ホームを選ぶ際のポイントや書面の見方などについて説明してきましたが、実際に入居をする際の手続き等の流れに進む前に、もう1度おさらいの意味も含めて、過去の相談事例の中から「こうすればよかった」という失敗談についてご案内します。
きっと、皆さんが施設を選ぶ際に参考になるかと思います。
- 見学だけで体験入居せずに決めてしまったので・・・
- Aさんは既に有料老人ホームに入居されている方でしたが、どうしてもその有料老人ホームになじめず、別の有料老人ホームへの転居を考えている、ということでした。話を聞くと、この有料老人ホームに見学した際、担当者から「空き部屋が残りわずかで、見学予約している人も数人いるので、早く決めた方がいい」と言われ、また、見学した際の印象も「悪くなかった(良かった、ではありませんでした)」ことと「比較的入居一時金が安かった」ため、体験入居せずに、決めてしまったのだ、とのことでした。
何事も急いで事を進めると良いことはあまりありません。このケースと同様の例で、
(1) 現在入院している医療機関から退院を求められ、有料老人ホームへの入居を決めたが、退院時期の兼ね合いで施設選定を急ぐ必要があり、1箇所の施設をご家族の方が見学しただけで決めてしまい後悔している
(2) 見学の際に受けた施設設備のゴージャスさに心奪われ、体験入居せずに即決してしまい、実際にケアサービスを受けてみるとあまり良くなく、後悔している
というケースもありました。
いずれのケースであっても、1〜2週間体験入居をしていれば(後半(1)の例では、入居される方が一度もホームに足を運ばないまま決定していることも問題です)、そのホームでの雰囲気などを味わうことができ、結果として契約や退去には至らなかったのかもしれません。入居一時金が他と比較して安かったことも1つあるのでしょうが、退去することで少なからず損失が出てしまいます。老後の生活のための大切な資金です。よく考えてホームを選びましょう。
- ご家族の方(子供)が先走りしすぎて・・・
- Bさん(都内在住)は、ご実家(東北地方)に住んでいたお父様が亡くなってしまったため、お母様が1人暮らしをするようになったのを機に有料老人ホームへの入居を検討されていました。出来るだけBさん自身が訪ねていけるように、と都内の有料老人ホームに決めました。ところが、入居されるお母様自身はあまり有料老人ホームへの転居を希望しておらず、また、生まれてからずっと東北地方の片田舎で暮らしてきたため、都会での暮らしにストレスを感じるようになり転居を考えている、ということでした。
今回のケースでは、(自分の近くで暮らして欲しいという)ご家族の方の思いが強すぎて、入居される方ご自身の意思や希望をよく理解しないままに有料老人ホームを決めてしまったことに問題があるようです。入居される方、ご家族の方双方が納得するホーム選びが大切です。
- 介護が必要になって専用居室を移るようになって・・・
- Cさんは7年前に有料老人ホームに入居された方でした。入居された当時はお元気だったのですが、2年ほど前から要介護状態になり、それまで暮らしていた専用居室から介護居室(4人部屋)に移動することになり、相部屋での生活にストレスを感じるようになりました。また、最近では生活支援サービス等の利用頻度があがり、月額の支払いもギリギリになってきたため、「もう少し費用面で余裕が出来るところ、介護が必要であっても個室で生活出来るところ」への転居を考えている、ということでした。
今回のケースでは、入居時にお元気であったことから「介護が必要になった時にどうなるのか?」ということをよく検討しなかったことによるものです。また、このケースと同様に、入居時に認知症状が無かったのですが、入居後に認知症状が出始め、問題行動が原因となって有料老人ホーム側から退去を求められて困っている、といった相談事例もございました。
入居を検討している時点でお元気であっても、介護が必要となったり認知症状が出たりする可能性は0ではありません。特に介護が必要となるかどうか?については、入居を検討している方の多い65〜74歳の方の要支援・要介護認定を受けている方は全体の4.8%であるのに対して、75歳以上の方では29.6%もの方が要支援・要介護認定を受けており(厚生労働省「介護保険事業状況報告」<平成17年度>、総務省「人口推計」<平成18年3月確定値>より)、介護が必要になった時にその有料老人ホームがどういった対応をしてくれるのか?費用は?といったことは、現在自立した方であっても絶対に確認しておかなければならない事項です。
※認知症については65歳以上の方の6〜7%、80歳以上で20%程度と要介護状態に比べると低いですが、「なりうるもの」として考えて施設選びをしておいた方が良いでしょう。
- 契約書などを良く読まずに・・・「えっ、これって そういう意味だったの?」
- Dさんのケースは入居を検討する際に有料老人ホーム側からもらった契約書や重要事項確認書を入居契約前によく確認しなかったことからトラブルに発展したケースでした。内容は、体の具合が悪くなり約3週間入院したのですが、その3週間分も有料老人ホームでの食事代を支払う必要がある、といわれたことでした。
説明を聞いた時には「食事代金は、3食30日召し上がった場合○円ですので、31日ある月や28日までしか無い月では増減します」と説明を受け「外泊したり入院したりして食事をとらなかったら、その分は払わなくて良い」と『勝手に思いこんでしまい、確認しなかった』ことに原因があります。
今回のケースでは、それが原因で退去を余儀なくされるような大きな問題へと発展することはありませんでしたが、内容によっては退去を余儀なくされる場合もあります。疑問に思った点などがあったら、どんな些細なことでも必ず担当者に聞きましょう(特に介護や有料老人ホームの事情に詳しくない素人の方の勝手な思いこみは非常に危険です)。また、その内容(場合)によっては、書面として残してもらうようにしましょう。
また、見学の際に「説明を聞いたから」ということで、契約書などに目を通さない、という方もいらっしゃいます。必ず、ご家族の方や身元引受人となる方も含めて、契約書などの内容は良く読み理解してから契約しましょう。
- 家族と自分だけで決めてしまって・・・
- Eさんのケースでは、入居される方(Eさんのご両親)とそのご家族だけで決めてしまい、情報量の不足(テレビCMや雑誌広告、パンフレットを鵜呑みにして専門家の方や入居者の方の話を聞かずに)の状態で施設選びをしてしまって後悔している、とのことでした。今すぐ退去を考えている、ということではありませんでしたが、色々と不満に思うところもあり、今回(Eさんの奥様のお父様)のご入居検討の際は弊社のような専門のところにお世話になりたい、ということでした。
今まで、介護方面のお仕事などに携わったことの無い方は専門知識が無かったり、業界内での評判などわからないことが多いと思います。施設選びの際は出来るだけ多くの施設を候補に挙げ、弊社のような専門の紹介センターに相談されることをおすすめします(弊社での資料請求やご相談など費用は一切無料です)。
有料老人ホーム側の話だけを鵜呑みにすることは(民間の営利企業ですので、都合の悪いことは隠していることもある場合があり)きわめて危険です。また、見学や体験入居の際に実際にお住まいになっている方の生の声を聞くことも重要です。
- 金額に必要以上にとらわれてしまって・・・
- 有料老人ホームに入居するにあたって、入居一時金や月額利用料といった費用面は大きなウェイトを占めることは確かですが、必要以上に節約すると・・・。
Fさんのケースでは、極力Fさん自身の年金で月額利用料がまかなえるように、と費用の安い郊外の有料老人ホームに決めて入居しましたが、ケアサービスや日々の生活に不便・不満があり、転居を考えているとのことでした。
有料老人ホームにかかる費用は、その建物自体の設備、立地環境などのハード面や、スタッフの人員体制といったソフト面から算出されます。全てがそうという訳ではありませんが、一般的に高い費用を払えばそれに応じたサービスが提供されます。結果的に払えなくなってしまうような施設への入居は避けるべきですが、入居される方やそのご家族の方の希望する設備・サービスと費用との間で折り合いをつける必要があります。
「費用が安いから」というだけで他の条件をよく勘案せずに決めてしまうと、退去することになった場合、返金されないムダな支出が発生したり、結局高い費用を支払わなければならなくなったり、その再支出を免れるために我慢してそのホームに居住し続けるといったことにもなりかねません。
「これだけのサービスがあってこの値段であれば安い」といった相対的な判断であれば良いですが、「(サービス内容を検討しないで単に一時金や月額)費用が安い」という絶対的な金額の高低で決めることは避けましょう。また、「これだけのサービスがあってこの値段であれば安い」といった判断が出来るようになるためには、出来るだけ多くの施設を検討対象にし、見学・体験入居をして「有料老人ホームを見る目を養う」ことや、弊社のような専門の紹介センターに相談する必要があります。